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…。
…。
「…。」
「穂乃。ほーの。」
あれ?私…。
ふと顔をあげると、目の前に心配そうなふー君。
どうやら喫茶店で眠ってしまったみたい。
そうだ。あれから3年。今私たちは主任職につき、次のプロジェクトを任されて、連日残業に追われていたんだ。明日はプレゼンの日。やっと書類が完成した。時間は22時。夜景か綺麗だからとお気に入りのお店に二人で入って…。そうか、夢を見ていたんだ。
去年主任職に二人で任命された日のこの喫茶店でふー君は私に告白してくれた。そういえば今日で丁度1年。ふー君は私を「ほの」って呼ぶようになった。
「トイレから帰ってきたら寝ていたからな。疲れたろ?」頭を撫でてくれる。この手大好き。
「お待たせしました。」
マスターがケーキを持ってきてくれた。
お店の電気が消えて、私達のテーブルのろうそくだけの光になる。
「えっ、今日なんか特別な事あったかな?」
「これからずっと特別な日になるように。」
不思議がる私にふー君はそっと小さな箱を差し出した。
えっ、これって?
パカリと蓋があいて、中からはダイヤが輝く綺麗な指輪。
「このプロジェクトは必ず成功する。だから、書類が完成したこの日を決めていたんだ。
穂乃…。いや、嶋田穂乃花さん。僕と結婚してください。」
私は両手で口を押さえる。溢れる涙が止まらない。
ふー君が私にプロポーズをしてくれた?
「うん、うん。私こそよろしくお願いします。」
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