お待たせしました？

「まあでもあれだよ松の字。少なくともこのボンクラよりはしっかりした奴じゃねえか」
　そう言って大村さんは俺の後ろ頭を叩いた。
「痛いですが」
「痛くしたからな」
　何を平然と言うんですか。
「そうだなぁ。こいつより若いのに、ちゃんとケジメつけにうちに来るんだもんなぁ」
　松さんもここにきて納得し始めない。
　後ろ頭も痛いけど、心が痛い。
「朱音ぇ。みんなが酷い」
「あはは。先輩ふらっふらしてるもんねぇ」
　常連の誰かから麦焼酎のお湯割りを受け取りながら、朱音がケラケラと笑う。
「朱音、お前もか……」
　味方はいない。
　俺は酒に逃げることにした。こういうのは得意なのだ。
「大将、お酒まだ？」
「へい」
　俺は、回ってきた酒器にそのまま口をつけてぐびぐび飲んだ。
　いわゆるところのやけ酒って奴だ。

　やけ酒にロクな結果無し。
　偉大なる先人の言葉だと思わせて、今思い付いた俺の言葉だ。