第2章

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第2章

月曜日はご多分に漏れず 僕にとっても一週間で一番嫌な日だ。 そしてその一日は 落書きだらけの暗いトイレの個室から始まった。 「そうです。財布を失くして……多分落としたんだと思うんですけど……」 「いつですか?」 「先週の金曜の夜です」 「場所は?」 「ええと、あれは……新大久保の1丁目あたりですかね」 「もっと詳しく特定できないですか?どこで飲んでいたとか、最後に出た店の名前とか」 詳しく? 分かるさ――言えないだけで。 後から知った話だがあそこは『クム』という 韓国語で『夢』を意味する あの界隈ではけっこう有名なコリアンボーイズバーらしい。
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