第2章

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やっぱり――。 そんな偶然あるはずないか。 再び名簿に目を落とし 「菊池将司……」 次の生徒の名を呼ぼうとした その時だった。 「……っ!」 カン・テヨンが下ろしかけた右手の指先を ほんの少し折り曲げるようにしてこちらに向けた。 あれは――。 『剥がしちゃおうかな。だってかっこ悪いでしょ?』 『いや……可愛いよ』 ノグリだ。 間違いない。 カン・テヨンの小指の先には あの日見たのと同じ――。 『ならこのままでいっか』 『え?』 『ノグリ。お兄さんがそう言うなら。ねえ?』 狸と見紛う 間抜けなドクロのネイルアートが。
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