第2章

16/27
前へ
/27ページ
次へ
彼が手を下ろしてしまえば もちろんその場で確かめる術などなくて――。 僕は最後まで出席を取り終えると (どうしよう……) 授業開始のチャイムと同時に ただ呆然と教室を出るほかなかった。 仕方なく――。 名簿を抱いたまま 後ろのドアの影から机に突っ伏している男を再び覗き見る。 (本当に……あいつがテヨンか?) 必死であの日の彼と照合するも。 寝癖だらけのぼさぼさ頭に 度の強そうな黒縁の眼鏡。 上履きの後ろをだらしなく踏んづけ 猫みたいに背中を丸めて眠る。 あの男が――?
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加