第2章

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じっとりとした視線が 探るように僕に絡みつく。 「あんたいい人そうだし、それに――こんなとこに置いておくのはもったいないいい男だ」 まさか――。 「っ……!」 事情を知らないなんて嘘だ。 「何にしろ気の毒な事ですよ」 谷はそう言って 湿った手で僕の尻をそっと撫でた。 「な、何するんですか……!」 「ああ、悪いね。手が滑って」 僕が飛び上がる様子を楽しむように 「ほら、チャイム鳴るよ」 悪びれず笑って谷は先にトイレを出て行く。 「最悪だ……」 出鼻を挫かれるとはこの事だ。 でもこんなのは序の口。 ただの始まりに過ぎなかった。
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