再会

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このまま、ばっくれて帰っても良かった。 インターフォンを押して「俺」とだけ告げると、扉が開く。エレベーターを待つ間も、悩んでいた。 少しだけ、昔の恋の余韻に浸ったって、いいじゃないか。今日を逃せば、この先、会うことさえも無いかもしれない。 そうやって、自分を正当化して、叶わない想いを隠しながら、梶本の部屋に戻って来た。 「お帰り、どうだった?」 「あー、ダメだって。新しいのにしてきた。」 「教えて!」 「何を?」 「番号!アドレス!連絡取れるヤツ全部。」 画面の中で見てきた『リオン』とはかけ離れた、昔のまま、少し強引で、優しい梶本が目の前にいる。 懐かしさと嬉しさが相まって、擽ったいような気持ちになる。 今でも、やっぱり好きだ、と思う…。
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