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グレーのスエットの上下、前髪を上げてピンで留めて、他の奴がやったら、ダッサダサなのに、梶本だとお洒落に見える。
やっぱりモデルなんだ、俺とはかけ離れた世界で、生きているんだと痛感した。
スマホの設定を済ませて、連絡先を交換した。
きっと、このまま、使われる事なんてないだろう。
「ありがと。ヒマな時連絡したら、来てくれる?」
「俺もヒマだったらな。」
「夕飯食べよ!出前でいいよな?
何にする?ピザか…寿司か…。あ、飲むよね?
ピザにしようか、ワインあるんだ。」
いそいそと、キッチンに向かい、高そうなワインのコルクを、惜しげもなく開けた。
正直、飲めるけど、強くはない。
酒癖が悪いとは思わないが、弱い部分を晒け出してしまう。
今夜はそうならないように、気を張りながら、飲んだ。
昔話に花が咲き、笑い、懐かしみながら、気付けば、ただの酔っ払いが二人出来上がっていた。
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