再会

13/15
前へ
/66ページ
次へ
お互い、記憶を無くす程ではなかった。 ただ、色々と喋りすぎたみたいだ。 今の俺の状況を。 ピザを頼むのは忘れていて、缶詰めや、スナック菓子をつまみに、夜更けまで話していた。 ふと外に目を向けて、呟いた。 「月ってさ、黄色だと思ってたんだけどさ、あれって、オレンジだよな。 なんか、旨そうじゃねぇ?」 「確かに!黄色ではないよね! なんだろう…。シロップのかかったパンケーキ?」 「あー、そんな感じ! 俺、月って好き。なんか優しいから。」 この時、梶本がどんな顔してたかなんて、覚えてない。 ネオンに星は消され、明るい藍色の中に浮かぶ、甘い滴の落ちそうな月を見ていたから。 4本目のボトルを空にした頃には、日付を越えていた。 「さ、そろそろ寝ないとね。 利和は、そのまま寝てていいからね。 じゃあ行こうか。」 俺達は今夜、一緒に眠る。梶本が俺の傍なら眠れそうだと言うから。 いつもはウトウトしては目が覚め、またウトウト…それを繰り返していると言う。 熟睡出来ないのだと。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

208人が本棚に入れています
本棚に追加