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「うん。でもさ。
本当に…お前、いい匂いするな。
なんか、落ち着くんだよ。
お前さ、マイナスイオン出てる?」
「んなもん、出てねぇよ!
なぁ、離せって。俺が眠れねぇよ!」
背中を向けていて良かった。
言葉では嫌がりながら、喜んでいる顔を見られなかったから。
どうせ、今夜だけだ。
初恋の男に、抱きしめられるなんて。
降って湧いた状況を、楽しむ余裕はないけれど、流れに身を任せて、今夜だけは…。
結局、梶本は俺の背中に、ぴったりとくっついたまま、朝まで眠っていた。
俺も、ドキドキしながら、梶本の体温を感じて、暖かさに安心しながら、眠った。
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