抱枕

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月曜日になり、梶本に買ってもらった服を着て、出社した。 まだ残る瞼のアザを、眼帯で隠しても、口元のアザと傷は、隠しきれなかった。 「落合、どうしたんだよ。」 同僚から、心配とも、好奇心ともつかない、声がかかる。 「ちょっと…。」 言葉を濁して、デスクについた。 俺は今、派遣社員として、家電メーカーでプログラミングの仕事をしている。 モニターに向かい、黙々と打ち込む。 必要以上に話す事もなく、淡々と仕事を片付けていく。 人嫌いではないし、付き合いも悪い方じゃないけれど、どこかで壁を作り、自分に介入される事を拒んでいた。
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