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「痛ってぇ…」
目覚めると、切れた口の端がしみた。唾を吐き出すと、血が滲んでいる。口の中まで切れてるようだ。
頬が痛み、瞼も重い。
相当酷い顔になってるんだろう。
明け方の公園のベンチに座って、ポケットの中を探った。
画面の割れたスマホと、よれよれの財布が入ってる。
「ここ、どこだよ。」
身体の節々が傷んだ。服も汚れてる。
「ちくしょ、覚えてねぇや。」
昨夜、飲みに行ったのは覚えてる。
店を出て、コンビニ寄って。
で…そうだ。
殴られたんだ。むかつく事言ってる奴等がいて、そっち見たら、喧嘩になって。
ボコボコにされて、意識無くしたんだ。
蹴られてんな、あばら痛てぇし。
ベンチに寝そべって、明けていく空を見た。
沈みきらない月が、青白くぼんやりと浮かんでいた。
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