幸福

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「それはね、一応、事務所にOKもらってる。 たぶん今ごろは、事務所も大変かもね。」 楽しそうに笑って、俺の手を取ると、指を絡めた。 「俺はね、仕事無くなってもいいと思って、誰にも言わずに、収録当日にぶちまけたんだ。 八巻は放送するなって、ごねてたけど、社長は違った。 きっと、何か考えがあるんだと思うけど、それは俺もわからない。」 心配しないでって、繋いだ指に力を込めた。 「一度、一緒に事務所に顔だして欲しいんだけど、 利和の予定って、どんな感じ?」 今は、八巻さんに紹介された会社で、事務の仕事をしている。 普通に会社員と同じで、休日は土日の週末だ。 顔を出すなら、週末か、仕事を終えた後か…。 「なぁ、俺、八巻さんに合わせる顔がない。 こうして、約束破っちゃったし。」
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