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「そのまま電車に乗るの?
そんな傷だらけで、服も破れてて。職質されるよ?
家、すぐだから。来て。」
俺の腕を掴み、半ば強引に、梶本の住む高層マンションに連れて行かれた。
腕を引かれ、後を付いていきながら、前よりも伸びた身長と、広くなった背中に、勝手にドキドキしていた。
「今日仕事?」
突然振り返られて、心臓が跳ねた。
「いや、今日はないよ。」
「何か予定ある?」
「ない、かな」
「俺さ、今日は雑誌の撮影だけなんだ。
利和、家で待っててよ。もっと話したいし。
連絡先わかんないままじゃ、この先いつ会えるかわかんないし。」
旧友に会えたのが嬉しいのか、梶本はしつこく俺を引き留め、「帰っちゃ駄目だよ!」と念押しして、仕事に向かった。
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