175人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
大体、ロランはおかしいと僕は思うのだ。
何で目が合った瞬間襲いかかってくるのか。
物語の悪役じゃあるまいし。
あんなにされたらどんなに好きでも逃げたくなるに決まっている。
僕はそう思いながら、木箱にはいったまま移動して止まりを繰り返す。
なぜ同じ場所にとどまっていないかといえば、一つの場所よりも、移動した方が出会う確率が少なくて済むかもと期待したからだ。
ロランの能力は“確率操作”である。
一箇所に留まっていればすぐに見つけられるという事象の確率が上がってしまうかも……そう僕は考えたからだ。
なので僕は、この移動型木箱で逃走していたのである。が、
「ん? 何だこの木箱は。……野菜の木箱か?」
(人参て書いてあるな。……後でリュシーに咥えさせよう)
誰が人参なんて咥えるか! と僕は心のなかで思っているとそこで、
「しかし台所からは遠いのに、何でこんな場所に木箱があるんだ?」
(怪しいが、まさかリュシーが入っていたりしないだろうな)
即効で勘づかれました。
何故、と僕は思うけれど更にロランは、
最初のコメントを投稿しよう!