番外編~木箱の中から、こんにちは~

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番外編~木箱の中から、こんにちは~

 僕、リュシーは現在、木箱の中に隠れていた。 「まさかこんな画期的な方法があったなんて、何で僕は今まで気づかなかったんだろう」  そう得意気に呟きながら、上の開いた空の木箱をかぶって、四つん這いになりながら逃げていた。  この格好ならばただの木箱でしか無く、しかも移動も出来る優れ物なのだ。  たまたま台所の周辺で見つけた人参が入っていたと思しき木箱。  それを見てたまたま何となくその箱のなかに座ってみて気づいてしまったのだ。  この中なら、僕一人くらいなら入れると。  しかも裏返しにしてかぶれば移動できると。  外からは中に僕がいるなんて分からないし、隠れるにはうってつけの箱。  本当は台所でお菓子を作って、また見逃してもらおうかと思ったのだが、こんな素晴らしい方法に気づいてしまったのだ。  この才能が憎い、そう僕は思いながら箱に入ったまま移動していた。  そもそもどうしてこんな事になったかといえば、またもロランにゲームで負けてしまったからだ。  今度は単純なゲームで、心を読む僕の能力を使えば容易に勝てると思った。  なのに、なのに! 「さて、また俺の勝ちだ」 「う、嘘だ、そんな……」 「さて、約束通り、リュシーにはたっぷりと喘いでもらおうか」  なので僕は逃走しました。  この前はお菓子を渡して見逃してもらったので、今回も……そう思って台所に逃走したのである。  そこでこの人参の木箱を見つけたのだ。
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