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1.
「あ、紗英ちゃん。ごめんね、
しちゃった。」
「ボーッとしちゃった。じゃなくてさあ!! 今日休むかと思ってた」
「なんで?」
「なんでって、そりゃあ」
昨日の今日だから。
紗英ちゃんは、その言葉を飲み込む。
飲み込んで、困った顔であたしを見つめる。
つい、昨日なのだ。圭ちゃんの告別式を終えたのは。ショックで学校を休んでいる子が何人かいるのが確認できる。
「あんたが、1番ショック受けてると思うんだけど」
「あははは!! 確かにそうだね! あたし偉いね?! 圭ちゃん褒めてー!」
無理に笑って見せる。
大丈夫、あたしは大丈夫。
「翠、ちゃんと食べてる?」
「え?」
「圭介が、死んだ日からなんも食べてないんじゃない?」
「えっと」
紗英ちゃんが聞く。
あたしの顔を除きこむ。
うーん、と記憶の線をたどると
……確かにそう、
そうかもしれない。
圭ちゃんのご両親から1番に連絡をうけた日から、なんにも食べていない。別にお腹は空いていなかった。食べたいとも思わないし、食べ物が喉を通るとも思わない。
「学校終わったら、ご飯でも食べに行かない?」
紗英ちゃんが、ご飯に誘ってくれる。
紗英ちゃんの気遣いは本当にあり
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