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たとえば、プロでもよくいるのが「分かり易さ」を重視する人です。分かり易いか、そうで無いかという基準で文章の良し悪しを判断してしまえば、「可能な限り同じ表現を使わない、あるいは間隔を空けて使う」よりも、同じ表現を繰り返した方が分かり易いに決まっているからです。
極言してしまうと、小説向きの文章は「可能な限り同じ表現を使わない、あるいは間隔を空けて使う」ので、他の文章表現に比較すると分かりづらいという傾向が明確にあります。これが、上手な文章の換金性が低い最大の理由です。つまり、読者の何割かは分かりづらい表現を理解できるほどの読解力がありません。
これは学術的な研究でも証明されており、たとえば2017年9月23日の東京新聞によれば、国立情報学研究所の新井紀子教授や名古屋大学などのグループが、全国の小中高校生や大学生、社会人らを調べたところ、中学三年生の約15%は主語が分からないなど、文章理解の第一段階もできず、約半数は推論や二つの文章の異同などを十分に理解出来なかったことが分かっています。しかも、高校以降は読解力が上昇する傾向が無いというオマケ付きです。
こうした読解力の低い人達の全てが小説の書き手や読み手になる可能性は無いでしょう。しかし、一部が小説を読んだり作家を志望しているのも確実で、そうなると文章の良し悪しを判断する基準のファーストプライオリティが分かり易さになるのはむしろ必然と言えます。
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