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そこで、読解力の低い人をターゲットにして小説を書くのか、あるいはこうした人達を切り捨てても小説向け文章の原則に従うのかというジレンマが生じますが、結論から言ってしまえば「客、あるいは編集者を見て決めろ」ということになります。
たとえば、編集者が「普段は小説など読まない人向けに書いて欲しい」という発注を出してきたら分かり易さを重視して、「小説を読み慣れた人向けの小説を書いて欲しい」という発注を出してきたら小説向け文章の原則に沿った書き方をすればいいわけです。
そして、そのためには「どちらも書ける」ことが重要になります。しかし、本稿はあくまでも小説向け文章の原則と技術を説明するために書いているので、分かり易さについてはそれほど重視せず話を進めていきたいと思います。
【3】基礎となる技術その1・省略
それでは、次に「可能な限り同じ表現を使わない、あるいは間隔を空けて使う」ためには、どのようなテクニックを用いれば良いのかを考えていきましょう。その方法は幾つも考えられますが、
(1)省略を使う。
(2)文末の変更。
(3)代名詞、類語、換称、換喩など、いわゆる「言い換え」の使用。
(4)主語が異なる文章の追加。
の4つが代表的なものだと思われます。
この中で、恐らく技術的に最も簡単なのが「省略」です。
具体例を見ていきましょう。
(例2)
僕の名前は太郎。
年齢は十歳。
小学生。
身長は140センチ。
体重は35キロだ。
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