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この(例2)は(例1)の文章を省略したものですが、ぐっと「小説らしい」文章になっているはずです。その理由は「僕は」や「です」といった高頻度で繰り返し使用していた単語を省略することによって、「可能な限り同じ表現を使わない、あるいは間隔を空けて使う」という原則に則った文章になっているからです。
省略は日本語で小説を書く作家のほとんどが使用している技術ですし、主に主語を書かない、あるいは文末を書かないだけでできるという簡単なものですから、絶対に覚えてください。というよりも、この技術が使えないのであれば、小説を書くことそのものを諦めた方が良いでしょう。
ただし、(例2)のように省略形ばかりを多用していると、主語が無い体言止めの文章が延々と続いてしまいます。これはこれで「可能な限り同じ表現を使わない、あるいは間隔を空けて使う」という原則を守っていない事になりますし、文章を読み慣れた読者からは「あ、こいつは技術が無いんだな」と舐められます。
そこで、同じ省略でも少し捻った方法を使うことによって、文章を読み慣れた読者にも「こいつは分かっているな」と思わせるのも大事です。それは「二つの文章を一つに繋ぐことによって、主語を省略する」というものです。
これも具体例を見ていきましょう。
(例3)
僕は夜道を歩いていた。
僕は公園の入り口に一万円札が落ちているのを見つけた。
↓
夜道を歩いていた僕は、公園の入り口に一万円札が落ちているのを見つけた。
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