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時計を見ると、もう午前1時を回っていた。
寝よう。明日も朝早くからバイトが入っている。
俺は明かりを消すと、ワイシャツのままベッドに倒れこんだ。安心したせいか、それともイッキ飲みしたビールが効いたのか、急に眠気に襲われた。
どれくらい眠ったか。ふと目を覚ました俺は、のろのろと体を起こすとスマホを探してベッドをまさぐった。
シーツの中に埋もれていたスマホに指が触れたとたん、スマホがけたたましいサイレンを鳴らす。
なんだ!? こんな音、聞いたことないぞ?
不安感を煽るサイレンが止んだ直後、小さな揺れを感じた。そして、低い地鳴りと共に部屋が小刻みに震えはじめる。
これは……地震……!?
揺れは徐々に強くなり、サッシや家具……アパート全体が軋むような音を立てている。俺は揺れる蛍光灯を見上げた。結構強い揺れ……こんなのは初めてだ。
こんな時はどうすりゃよかったっけ?
焦る俺を嘲笑うかのように、地鳴りが大きくなっていく。
これはマズイ!
そう思った瞬間、突き上げるような凄まじい縦揺れが体を襲い、俺はベッドから転げ落ちた。
窓のサッシが歪み、窓ガラスが割れ、テレビが揺れに弾かれるように飛ばされる。
なんなんだ……なんだってんだよ!
激しい揺れに翻弄され、体を動かすこともできない。腕で頭を抱えながら、俺は揺れが収まるのを待った。しかし、揺れは収まるどころか激しさをましてゆく。
恐怖と混乱で頭が真っ白になる。
その時、さらに激しい縦揺れがアパートを襲う!
雷が間近に落ちたような轟音。木が引き裂かれる音。地の底から沸き上がる地鳴り。何かが砕ける音。俺自身の悲鳴。
それらがいっぺんに俺を包み……俺の意識は途切れた。
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