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親衛隊
何で、俺がこんな目に合わないといけないんだろう。
北堀雪弥は泣きたい気持ちを抑えただひたすら、誰もいない廊下を走っていた。
目の前は行き止まりだった。
雪弥は後ろを振り返る。
まだこの階にあいつらは到達していない。その事を確認して空き教室に逃げ込む。
入り口から死角になるなる教壇の影にしゃがみ込んで、雪弥は息をひそめた。
バタバタと廊下から複数の足音がした。
わざと大きな足音を立てているようだった。
「きたぼりくーん、あそーびーまーショー。」
一人がふざけた口調で言うと残りの何人かのゲラゲラと笑う声が聞こえた。
雪弥はただひたすら気配を消して息をひそめてしゃがんでいた。
こうやって、息をひそめていれば諦めていなくなるだろうと思った。
しかし、そんな雪弥の願いはかなうことなく、雪弥の居る教室のドアが開いた。
「後はここだけだな。」
楽しそうに言う声は若干上気しておりハンティング気分を味わっているようだった。
怖くて、怖くてカタカタと震える。
今更、逃げ出す事もきっと不可能でただただ見つからないことばかり考えて俯いていた。
「見つけた。ったく手間かけさせるなよ。」
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