3人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
テレキネシス
「俺はすごいパワーを身に付けてしまったみたいなんだ」エス氏は散らかったテーブルを前にして青ざめた顔で言った。
「なんだよ……いきなり呼び出して、パワー?」友人はテーブルの上の割れた卵を見つめた。
「とりあえず見てくれ」
そう言うと、エス氏は冷蔵庫から卵を取り出してテーブルの上に置き、手のひらをかざした。みるみるうちに顔は赤くなり、額には血管が浮き出した。巨大な大便でもするかのように喉から声が漏れだしていた。
結局友人はエス氏のただならぬ様子に気を取られ、卵が割れる瞬間を見逃してしまうのだった。
「どこ見てんだよ!」エス氏は呆れた表情をしていたが、顔はまだ赤かった。
「どうやって割ったんだ? 見逃したけど」
最初のコメントを投稿しよう!