硬直

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「この前みたいなのは…いやだ…」 「お前に拒否権はねぇ」 「せめて、頼むからもう少し、待って…っ」 心の準備も体の準備もできていないと言うのだろう。生娘みてぇなこと言いやがる、と伊織は笑う。奈緒としては必死なのだろうが、マフィアの用心棒という物騒な男にこんないじらしいお願いとは可愛いものだと伊織は内心きゅんとした。ついぞ二日前に犯したばかりで色々と回復もしていないのかもしれない。 そんな言葉を無視し、泣かせるまで酷く扱って最後までしてしまいたい。そんな欲求も溢れたがこの時伊織はなんとなく気まぐれを起こした。組み敷かれた奈緒の首筋に埋めていた顔を少し起こし、奈緒のズボンを脱がしにかかった手を止める。 そのまま奈緒の体から少し離れた。ちょうど、仰向けに転がされる奈緒の肩の横に手を置きシートと自身の体の間に奈緒を閉じ込める格好だ。 顔が触れ合いそうなほど近い。伊織の黒髪が奈緒の頬にかかるほどの至近距離。思わず瞳を逸らす。 奈緒が目を背ける一方で伊織は奈緒の表情に魅入る。どれほど粋がろうが暴れようが、汚い大人に蹂躙されるのを待つことしかできない健気さが愛おしい。
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