硬直

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屈辱だった。どうして自分がこんな目に遭わなければならないのだろう。 けれど、拒否権は、ない。 ややあって躊躇いがちな奈緒の手が、伊織の質の良いシルバーのベルトに触れた。震える指でバックルからベルトを緩める。ジーンズのトップボタンを外すと、引き締まった伊織の白い下腹部がのぞいた。 無駄の無い精悍な体つきに何故か少しだけどきりした。 ファスナーを下ろせば黒いボクサーパンツが露わになる。その下に隠された伊織のそれは既に主張し始めていて奈緒は動揺する。しかしついさっきまで奈緒を組み敷き肌に触れ、加虐心をそそる声で車内が満たされていたのだから、伊織が反応するのは当たり前のことだった。 そして今こうして奈緒が華奢な体を自身の足の間に押し込んで端正な顔を羞恥に歪め、ぎこちない手つきで自身に触れようとしている。 奈緒と出会ってから伊織の頭の中で何度も妄想したような光景。 今奈緒の全てが自身に向けられていることへの満足感を伊織は感じていた。 ねぶるように彼の一挙一動を眺める。
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