硬直

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「…」 奈緒は暫し動きを止めた。葛藤や恐怖、恥。奈緒の中であらゆる感情が渦を巻いているようだった。伊織はそんな奈緒の心情が手に取るようにわかった。 耳を擽れば面白いくらいに肩が震える。反応を楽しむようにゆっくり頬をなぞりそのまま唇に触れると、薄く柔らかな感触が伝わってくる。下唇に親指をのせ、官能的に弄びながら、先に進めない奈緒を追い込む。 「今日だって可愛い妹が待ってんだろ。これじゃいつまでたっても帰れねぇな」 「!」 奈緒の心臓が冷える。芹香の名前を出されれば何も抵抗ができない。 奈緒はその言葉に押されるようにして伊織の性器に触れた。 布越しでも熱を持っていることがわかった。人のものに触ったことは初めてでどうしたら良いのかもわからない。けれどこの男を満足させなければいけない。自身や愛する妹の命運は彼の手の内なのだから。
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