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「っんぐ、ぅ………!」
くぐもった悲鳴が奈緒の唇から漏れた。親指で強引にこじ開けられた奈緒の小さな口に伊織の硬いそれがぐっとねじ込まれる
口の中は熱く湿っていた。突然の暴挙で混乱する奈緒が、伊織のそれを押し出そうとするも波打つ舌が絡まり一層刺激される。
「歯ぁ、あてんな、よっ」
「ん、ふっ…ぅう…!」
顔を背けて逃れようともがく奈緒の頭を抑えつけ、受け入れさせる。奈緒は目を白黒させ口内を犯す硬く大きな異物感に呼吸を乱す。伊織の下腹部を押して距離をとろうとするが無駄な抵抗で、前後に軽く揺すられて脳天がクラクラした。
口を閉じることができず溢れた唾液が絡まり、淫猥な音を響かせながら唇の端から滴り落ちる。呼吸の仕方がわからず荒くなる自身の吐息と呻き、水音で何も考えられない。
「ぅ、ぐ…!」
苦しくなり視界に涙が溜まる。やめてくれと頭上の伊織に訴えかけ見つめるも、そこに映るのは奈緒の口内を激しく犯す目の色を変えた獣の姿だった。動くたびに伊織のシルバーのピアスが光を受けてちらつき、ぞわりと鳥肌が立つほど夢中になっている。
それは、忘我と呼べるほど。
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