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暫く2人の間に沈黙が降り、隆明の表情は苦しげに変わる。
「……心配なんだよ。」
先程とはうってかわり、掠れるような声が絞り出された。
「奈緒が、何かに苦しめられてるんじゃないかと思うと、頭おかしくなりそう。」
「隆明」
「何で話してくれないんだよ…。」
隆明は奈緒にとって唯一無二の存在で、共にいれば安心する幼なじみだ。けれど大事な幼なじみだからこそ言えないことがある。大人の男に何をされたのかなど思い出したくもない。隆明に打ち明けるなど考えるだけでもゾッとする行為だ。
目の前の親友の心配する気持ちを痛いほど理解しても、奈緒は何も話す気はなかった。
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