休みをください

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ベトナム・ハノイ生活も早2年。 小さな町で暮らしていると、終日出勤なんて当たり前。 急な呼び出しや、急な来客などにも場合によって駆り出される。 ……プライベートなど、あってないようなものだ。 「あぁ~。誰にも干渉されないところで、のんびり過ごしたいっ!」 私の精神状態は、そろそろ限界に達していた。 と、……そんな時だった。 まさに神からのお告げとしか思えないような、1通の手紙が私のもとにやってきた。 イギリス人夫人・マリーさんからの手紙だった。 手紙には『最近、夫(エド)の調子が良くないの』と書かれていた。 マリーさんは、その昔イギリスへ放浪の旅に出かけ『もう、あんた日本に強制送還ね』と税関職員に脅された私を『私がイギリス国内での身元保証人になるから』と助けてくれた、それはそれはありがたい人だった。 (なに、やっているんだ、私!? 涙) こ、これは……。 ~~ 会いに行ってらっしゃい! ~~ どこからともなく『天使の声』が聞こえた、ような気がした。 マリーさんも夫のエドさんも80歳くらいになったと思う。 今会わなければ、もう一生会えないかもしれない! 私は『絶対にイギリスへ行こう!』と心に決めたのだった。
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