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2年前、つき合ってくれと言ってきたのは浩史の方だった。
当時、好きな人がいるからと断ったにも関わらず、浩史は諦めることなく熱烈なアタックを繰り返し、その熱意にとうとう由香里が折れた形だ。
二人の交際は順調に進んだ。
デートは浩史が由香里を誘い、由香里が行きたい場所に行く。
連絡もマメにくれるし、怒って不機嫌になったりすることもない。
こっちだって、イケメンの男を諦めて浩史と付き合ったのだから、このくらい幸せを味わっても良いだろう、と由香里は密かに思っていた。
半年前のある日、部屋の隅の山積みにされた洗濯物の中に女性もののハンカチがあるのを見つけた。
最初は家族のものかと思ったが、以前に母は亡くなっていると聞いていたし、兄弟は弟が一人いるだけだ。
それでも、友人からたまたま借りて洗濯したというパターンもあるかもしれないし、何よりこんなことぐらいで目くじら立てて怒るなんて絶対に嫌だったから、そのまま黙って見過ごした。
次におかしいと思ったのは会う頻度が減ったことだ。
それと同時進行でだんだんと連絡がつきにくくなった。
会いたいと思うこともあるけれど、由香里が自分から浩史を誘うのも違うような気がしていた。
だからその点についても由香里は浩史を責めることはなかった。
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