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再び階段の上から彼女が追いかけてきて、立ち止まっていた翔真の背後から裸の上半身に抱き着いた。
「ねえ、しよ?」
──お願い、やめて。マジで殺されるから……。
胸を這う彼女の指先を見て、真壁が目を大きくしてこぶしを握った。
可愛い顔をしてそんな誘い方をするから、夜斗は思わず笑ってしまう。
「かわいすぎでしょ。俺ならすぐにでも抱いちゃうよ」
冗談にもならない。
真壁が本気で夜斗の頭を殴った。
「いってぇ……」
──あれは俺が受けるはずのこぶし……。
見てるだけで痛みを感じる攻撃に表情がこわばった。
「うぅ……」
今度は翔真を背後から抱きしめながらうめき声を上げ始めたようだ。
「今度はなんだ?」
真壁は相当ダメージを受けたらしく、これ以上見たくないとすら思っていた。
それでも『これは仕事』と言いきかせて平静を保とうとしている。
「うぅ……なんで?なんでなの?……私じゃダメなの?」
どうやらまだ女豹のままらしい。
翔真は胸を這う彼女の指をつまんだ。引っ張り上げようとするけれど、全然離れようとしない。
そして極め付け。
「抱いてくれないなら死んでやる!」
家中に響く大声でそう叫んだ。
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