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「あ……もしもし?エリカ?うん……」
電話の向こうの声に答えながら、翔真は深雪を抱きしめた。
「……うん。いや、もう会う気はないから。好きな人ができたんだ。香織とはもう終わったんだよ」
深雪はその言葉を聞きながら翔真の背中に手を回す。
「うん、正月には帰るよ……。じゃあ……」
電話を切ると、両手でしっかりと深雪を抱きしめた。
「どうして急にそんな甘えん坊になるんですか?」
耳元でクスクスと笑いながら、嬉しさのあまり首筋に鼻を寄せた。
深雪の匂いが胸をくすぐる。
「だって……」
いつ入れ替わるかもしれない人格。
少しの時間だって惜しいのに。
「私…星野さんのこと、何にも知らないんだもん……」
翔真は深雪の顔を覗き込んだ。
「俺のこと知りたい?」
そう言って笑う。
「うん」
「じゃあ…クリスマスの約束を守ってくれたら教えてあげますよ」
そう言って、おでこにキスをした。
白い雪が空から落ちてくる。
3日後はクリスマス。
──絶対に別の人格に身体を譲るわけにはいかないんだ……。
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