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限りない愛
深雪は部屋を見回して首を傾げた。
あれから何日が経ったのだろう。
最後の記憶は…雪の中で氷室といた事だけだった。
あの後何が起こったのか、まったくわからない。
アイツは捕まったのだろうか。
夜斗と向かい合って座っていると、顔を覗き込まれる。
「深雪ちゃん…だよね?」
このやり取りはすでに6回目だ。
いったい何が起きてこんなに疑われているのだろうか。
深雪はまた首を傾げた。
「大江さん…いったい何があったんですか?私、なにかやらかしました?」
夜斗はにっこり笑うと顔の前で大きく右手を振った。
「いや、別に!」
──あんな誘い方、深雪ちゃんはしないか……。
実は誘われてみたかった夜斗は見るからにがっかりしていた。
「それより…真壁先生と星野さんはどこに行ったんですか?」
深雪にそう聞かれて夜斗は苦笑いを浮かべる。
──今頃、派手に殴られてるんだろうなぁ……。
そう考えると「ざまぁみろ」と笑えてくる。
深雪の前でそんな本心は見事に隠して平静を装った。
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