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「でもさ、ホントに瀬菜って、キレイだよね~?スッピン??」
何の警戒心もなく、またも、至近距離。
だ~か~ら~、近いっつーのっ!!
「化粧なんかしないよ。自分だってしてないだろうが。」
「してないけどさ、顔の作りが違うよね。神様はなんて不公平なんだっ!」
そんな力説されてもさ…。
あんただって十分可愛いよ。
「…。」
「…。」
何かすごい見つめられちゃってるんですけど。
その瞳が、あまりにも、真剣に見えるから、俺も目がそらせない。
「瀬菜。」
「…なに。」
「前にどっかで会ったことない?」
「は?」
おぃ。
ここは、仮想現実。つまり、バーチャル。
俺は、未夢さんである、葉月の護衛をして、この世界で精神的に脆い部分を強くするのが目的で、だから、未夢さんの記憶は、葉月にはない。
…はずなんだけど…?
「学校で会ってんじゃん。」
とりあえず、尤もらしい返答をしとこう。
「…うん。そぉだよね。」
「何?腑に落ちないの?」
「そうじゃないけど、何か、学校じゃないとこで会った事ある気がしたから。」
「街とかで見かけたんじゃない?」
「…そうかな。…そうかもね…うん。ごめん。変な事聞いて。」
「…別にいいけど…。」
やっぱり腑に落ちないって顔してる。
…まさか…設定ミス?
んな訳無いよな。
もう何度も実践して成功事例も沢山あるし。
俺も、こっちは初めてだから、よく分からないのは、事実だけど。
何かの拍子で思い出したりしないのか?
そうなった場合どうなるんだろう。
こっちでも、葉月が壊れたら?
やめやめ!
マイナスに考えてどうする。
そうならないために俺が居るんだろ。
「あははっ!」
「!?」
いきなり笑い出すなよ!
「瀬菜っ!今、百面相してたよ。考え事?」
…顔に出てたのか…。
俺にポーカーフェイスは無縁だな。
「色々ね。」
「何々?あたしが話聞いたげるよっ。」
「…別にいいよ。」
ってか、あんたの事だよ。
「あ、分かった。恋の悩み?」
「は!?」
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