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気がつくと、彼女の大きな瞳から、大粒の涙が流れていて、俺はかなり焦ってしまって…。
「何、弱気になってんだよっ。今一番辛いのは、病気になってる雅希さんだろっ!周りの奴が、しっかり励ましてやらないと、治るもんも治らないよっ!」
思わず、敬語を忘れるくらいで…。(汗)
芸能人相手に何やってんだか。
「…。」
案の定、面食らった顔してるよ。
「あ、いや、すいません。出過ぎた真似を…。」
「ぷっ。あはははっ。」
「!?」
何故、いきなり、笑い出すわけ!?
「君、面白いね~。百面相してるよ。芸能人相手にヤバイ事言ったって思ったでしょ?」
「あ、ぃや~。」
図星すぎて、返す言葉がない。
「名前は?何て言うの?」
「…瀬菜。」
「瀬菜は、いつもここで一人で空見て、黄昏れてるの?」
「…いつもって訳じゃないですけど、大体。」
「じゃあさ、あたしと友達になってよ。」
「何でいきなり。」
っていうか、俺とは住む世界が違いすぎるだろうに、何言うかな、この人は。
「いぃじゃん。どうせ、ろくに勉強せずに、空ばっかり見てるんでしょ?あたしも仲間に入れてよ。」
「……。」
「それに、一人より、ふたりの方が楽しいでしょ?」
「……好きにすれば。」
「何それ~、可愛くないの~。」
あんまり無邪気に笑うから、なんか、迫力負けした感じ。
これが、芸能人ってやつなのかな。
「瀬菜、ありがとう。」
「別に、俺は何も…。」
「照れるな、照れるな。」
そう言って、俺の頭をわしゃわしゃと撫でながら、笑っていた。
なんか、俺、好きかもしれない。
その笑顔を見て、直感的にそう思った。
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