snow drop.1

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気がつくと、彼女の大きな瞳から、大粒の涙が流れていて、俺はかなり焦ってしまって…。 「何、弱気になってんだよっ。今一番辛いのは、病気になってる雅希さんだろっ!周りの奴が、しっかり励ましてやらないと、治るもんも治らないよっ!」 思わず、敬語を忘れるくらいで…。(汗) 芸能人相手に何やってんだか。 「…。」 案の定、面食らった顔してるよ。 「あ、いや、すいません。出過ぎた真似を…。」 「ぷっ。あはははっ。」 「!?」 何故、いきなり、笑い出すわけ!? 「君、面白いね~。百面相してるよ。芸能人相手にヤバイ事言ったって思ったでしょ?」 「あ、ぃや~。」 図星すぎて、返す言葉がない。 「名前は?何て言うの?」 「…瀬菜。」 「瀬菜は、いつもここで一人で空見て、黄昏れてるの?」 「…いつもって訳じゃないですけど、大体。」 「じゃあさ、あたしと友達になってよ。」 「何でいきなり。」 っていうか、俺とは住む世界が違いすぎるだろうに、何言うかな、この人は。 「いぃじゃん。どうせ、ろくに勉強せずに、空ばっかり見てるんでしょ?あたしも仲間に入れてよ。」 「……。」 「それに、一人より、ふたりの方が楽しいでしょ?」 「……好きにすれば。」 「何それ~、可愛くないの~。」 あんまり無邪気に笑うから、なんか、迫力負けした感じ。 これが、芸能人ってやつなのかな。 「瀬菜、ありがとう。」 「別に、俺は何も…。」 「照れるな、照れるな。」 そう言って、俺の頭をわしゃわしゃと撫でながら、笑っていた。 なんか、俺、好きかもしれない。 その笑顔を見て、直感的にそう思った。
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