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「夢でも見てるの~?」
聞こえるかどうか分からないから、半分、独り言のつもりで呟いた。
すると、瀬菜の瞳がうっすらと開いて、まだ虚ろなその瞳にあたしを映したかと思うと、
「好きです。」
って、何故かあたしは、次の瞬間には瀬菜の腕の中にすっぽり納まってしまっていて…。
…え?何???
「…???…っ!?お前、何してんだよっ!!」
慌てて、あたしを引き剥がす。
いや、先に何かしたのはそっちでしょ(笑)
「…瀬菜がいきなり、あたしを抱き寄せたんじゃない。」
あたしが唇を尖られて言うと、瀬菜の顔が、見る見るうちに赤くなった。
…面白い。
「ぅわっ、ごめっ!お……あたし、寝ぼけててっ…。」
かなりの慌てよう。
途中の「お」は何?(笑)
「え?いぃよ、別に。女同士なんだし。気にしなくても。」
「……。」
「夢でも見てた?」
「何で?」
「だって、「好きです」って言ってあたしを抱き寄せたから…。それとも、ホントにあたしがスキなの?(笑)」
ちょっとイジワルしちゃえ。
「んなっ!ちげぇよっ!アホ!」
「ぷっ。瀬菜ってば、ホント面白い~~。」
たまらず吹き出して笑うあたしに、すごいバツが悪そうな顔した瀬菜が、
「ヒトのコトからかって遊ぶな。」
って、あたしの額を軽く叩いて、立ち上がった。
「…帰るよ。」
「うん。」
イヤホンをポケットに直して、先に歩き出した瀬菜の後を付いて行く。
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