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「何、してんの?」
「何って、瀬菜歩くの速すぎっ!男子と歩いてるみたい!!」
ギクッ!
やべ、気をつけなきゃ。
バレたら、ただの変態じゃん、俺。
「ごめん。考え事してて。」
「まったく、足が長いのは分かるけど、見せ付けなぃでよねっ。」
待っていた俺に、追い付いた葉月は、べーっと舌を出して、だけど、その言葉に悪気はないようで、笑っていた。
「考え事って、さっきの人?なんか、かなり年上ぽかったけど、瀬菜知り合い?」
「知り合いっていうか…。」
…恋敵?なんてね。
「夢にまで出で来ちゃう片思い中の彼かな?」
「んなわけないじゃん。」
「またまたぁ。あの人を見た時の瀬菜、顔違ったもん。隠さなくてもいぃじゃん。」
そりゃあ、驚いたからな。
ってか、何でそんなワクワクしたような笑顔してんの。
「ヒトの事、からかって遊ぶ気でしょ。顔に書いてるよ。」
「あ、バレた?」
「ちぇー」と、少しつまらなそうに顔を膨らましている。
「かっこいい人だったから、もしそうなら、くっつけて、絵になるカップルを見て、目の保養しようと思ったのに~。」
お前は、どこぞのおばちゃんかっ。
だけど、この様子なら、記憶が戻ってる可能性はないな。
良かった。
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