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「ねぇ、雅希。」
「ん?」
俯いた視線を、僕に合わせた後、さっき隠したノートの方を指差して、続ける。
「その唄、完成したら、あたしに唄って聴かせてね。」
「もちろん、そのつもりだよ。」
「うん、ならいいの。」
「約束ね。」
そう付け足して笑う。
そろそろ行かなきゃと、名残惜しそうに、未夢は言った。
「ラジオ頑張れよ。」
励ましの意も込めて、未夢の腕を引いて、その唇に軽くキスをした。
「うん。雅希も調子いいからって、あんまりギター弾きすぎちゃダメだからね。」
「分かってるよ。」
僕が微笑むと、それに答えるように、微笑み返す未夢。
「じゃあ、あたし行くね。また来るから。」
「あぁ。気をつけて。」
軽く手を降って、その後ろ姿を見送った。
そしてまた、さっき隠したノートを取り出して、ペンを走らせる。
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