snow drop.2

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「ダ~メ!絶対、あたしが招待するから!特等席を!」 物凄い勢いで喋る。 未夢さんと、接して、気付いたことは、意外と頑固だということ。 「じゃあ、お言葉に甘えて。」 「びっくりさせちゃうからね~。」 にこっと笑う。 それから、よく笑うということ。 正直、俺は、別に無感情な訳ではないけど、あまり笑わない。 どうしても、父親の仕事上、「死」に直面する機会が多くて。 昨日まで元気そうだった患者さんが、翌日、息を引き取ったりしているのを、目の当たりにすることも多かったし。 何とも言えない複雑な気分になり、笑うことが自然と減った。 そして、いつからか、そんな時は、よく屋上に来て、空を眺めている事が増えた。 『人は死んだら天国へ逝くんだよ』 幼い頃に父親から聞いた言葉のせいかもしれないけど。 だから、太陽みたいに笑う未夢さんが、俺にとっては本当に眩しかった。 彼女には、ずっと、笑っていてほしいなんて、思うほどで。 雅希さんが、羨ましいな。 って、え? 何考えてんだ、俺。 雅希さんが羨ましいって、それって…。 「せ~なっ!!」 「!?ぅわっ!!」 ふと気付くと、 思いきり至近距離に未夢さんが居た。
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