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「ねぇ、今授業中だよ?」
「ぅわっ!びっくりしたっ。後ろから話し掛けんなっ!」
「あ、ごめん。」
ぅわー、今まで、あんまり話した事なかったけど、顔はすごいキレイなのに口が悪い。
しかも、女の子なのに、めっちゃ足開いてるし。
いくら、ここ、女子校って言ってもねぇ?
「…なに?」
あたしがあまりにも、凝視してたから、すごい不振そうな顔。
「唄、唄ってたでしょ?それ、なんて唄?」
「…『powder snow』」
少し驚いた顔をした後に、あたしから目線を外して、呟いた。
あれ?あたし、変な事聞いたのかな?
「ふぅん。ありがとう。昨日ラジオで流れて、いぃ曲だなって思ったんだけど、タイトル覚えてなくてさ。橘さんは、何でこんなとこにいるの?授業は?」
「…サボリ。授業なんて受けても意味ないから。ここ、職員室から、ちょうど死角だし。
…松永さんこそ、何でこんなとこに?」
「授業中、居眠りしちゃって、眠気覚ましに、顔洗いに教室出たら、橘さんが唄ってるのが見えたから。唄、上手いんだね。」
あたしが、ニコッて笑いかけると、橘さんはまた、あたしから、視線を外す。
…もしかして、あたしの事嫌いなの?
「…別に。上手くないよ、こんなの…雅希さんに比べたら…。」
雅希?誰、それ。
「雅希って?」
あたしが尋ねると、またも、驚いた顔。
何なの、一体。
「powder snow、唄ってる人だよ。昨日ラジオで聴いたんじゃないの?」
「聴いたけど、あたしが聴いたのは、女の人が唄ってた。」
「……カバーでもされてるのかもね。」
何、その不自然な間は。
「ねぇ、橘さんって、あたしの事嫌い?」
「は!?なんで!?」
あ、今までで一番びっくりした顔だ。
図星かな?
「だって、何か、そっけないじゃん。すぐ目そらすし。だから、あたしが嫌いなのかなって。」
すると、少し困ったような顔をして、彼女が答えた。
「…嫌いじゃないよ…むしろ、その逆。」
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