~hazuki Side~

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…え? その逆?? つまり、嫌いの反対だから、好きってこと? ごめんけど、とても好かれているとは、思えないよ。 その反応。 バツが悪そうに、やっぱりあたしから目を逸らしてるし、若干、顔が赤い。 ん? 顔が赤い?? あ、そっか。 「照れてるんだ?」 「なっ!違っ!!」 ますます赤くなった。 どうやら図星みたい。 なんだ、嫌われてたんじゃなかったんだ。 この娘、意外と可愛いとこあるじゃん。 「ねぇ、ねぇ。」 「…何?」 「もっかい、唄ってよ。powder snow」 「やだよ。」 「え~?なんで~、上手いのに~。」 「やだから。」 「いぃじゃん。ケチィ~。」 「…教室、戻れば?怒られるよ。」 「橘さんだって、サボってるじゃん。」 「……あたしはいぃんだよ。」 説得力ないよ、それ。 しかも、何で小声? 「じゃあ、それ貸して。」 あたしは、橘さんが聴いてたMP3を指差した。 「…別に、いぃけど。」 そう言って、橘さんは自分の首に下がっていたイヤホンを外そうとしたから、あたしは、すかさず、 「片方でいぃよ。」 って、あたしは、橘さんとの間にあった校舎の窓を、飛び越えて(一階だから、そこまで高くないし。)彼女の隣に座って、片方のイヤホンを半ば横取りして、耳に嵌めた。 「!!……。」 案の定、面白いくらいに過敏に反応したから、あたしはおかしくなって、わざと、距離を縮めて、耳からその唄が流れるのを待ってた。 橘さんも、諦めた感じで、スタートボタンを押した。 しばらくすると、昨日とは違う、男の人が唄う、 『powder snow』 が、流れ始めた。
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