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~sena Side~
…何なんだよ。
この状況。
近いっつーの!
俺の耳からは、確かに、雅希さんの唄う、『powder snow』が、流れている。
なのに、ちっとも、集中できない。
むしろ、流れるメロディーより、俺の心臓音のが、でかくない?
横目で、彼女を見たら、どうやら、流れてくる音に集中しているようで、静かに目を閉じていた。
この娘が、未夢さんなんだ。
ここに来る前に、未夢さんが、どんな容姿で、何て名前で登録されるか、ちゃんと確認はして来たけど、やっぱり、実物は未夢さんとは、全く違う、『松永 葉月』だった。
なのに、話し方とか、雰囲気はやっぱり、未夢さんを思わせるから、何だか複雑な気持ちになる。
そぉいえば、何で、わざわざ、名前も容姿も、それに、年齢さえ、設定を実際と変えたんだろう?
記憶さえ、入れ換えたら良かったんじゃあ??
しかも、何でこっちの世界に、「powder snow」が存在してるんだ?
それに、唄ってるのが女だなんて…。
…まぁ、親父のすることだからな。
半分面白がってんだろうな、うん。
もしも、未夢さんが、俺と同じ高校生なら、こんな感じで、話したりとか出来たのかな。
もしも、雅希さんより、早く出逢えていたら…。
「…さんっ。橘さんってばっ!」
「!?…。」
「曲、終わったよ。」
…やべ。
色々、考えてたら、いつの間にか、終わっていたらしく、思い切り、至近距離で、彼女が顔を覗き込んでいた。
…てめぇ。
キスするぞ、このやろぅ(爆)
「橘さん、まつげ長いね~。」
俺の気持ちはお構いなしで、無邪気に感心してる。
…女と思ってるから仕方ないか。
「そぉいう事言わないでくれる?気にしてるんだ。」
そぉ何が腹が立つかって、確かに容姿は女なんだ。
なのに、顔は現実とたいして変わってなくて…。
声も、まだ声変わりをしていないから、そのままな感じで…。
…ただ単に、ちょっと、本格的な女装してるみたいにみえるから、凹む。
「何で?いぃじゃん。橘さん、キレイだよ?自信持ちなよっ。」
…そんな、天使みたいに笑うな。
そりゃあ、女なら、いぃだろうよ。
だけど、俺にとって、この女顔は、コンプレックスなんだよっ!
だから、未夢さんにも、可愛い弟くらいにしか見えてないんだろなぁ。
って、ここでこんな事言っても仕方ないか。
今は女なんだから…。
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