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「…あんまり、見るなよ。」
…変な気分になるだろ。
「何?また照れてるの?橘さんって、人慣れしてない?」
また、何を言うかな、こいつは。
「別に。一人でいる方が楽だから。」
第一、ここはバーチャルだから、他の誰と関わっても、作り物だし。
まあ、現実でも一人でいる事の方が多いけど。
「じゃあさ、あたしと友達になってよ。一人より、二人の方が楽しいでしょ?」
「…え?」
ぅわ、やっぱ、未夢さんだ。
俺と初めて会った時と同じ事言ったよ。
その時、あまりに、フワッて笑うから、その瞬間に好きだと思ったんだっけ…。
「ねぇ、いぃでしょ?」
「…好きにすれば。」
「何、それ~~、可愛くないの。」
そう言って、葉月は、また、笑った。
俺がわざと、あの時と同じ台詞を言うと、やっぱり、あの時と同じ言葉が返って来た。
ホントに、同じで、ちょっと驚いた。
世界が違っても、容姿や名前が違っても、未夢さんは、そこにちゃんと居るもんなんだな。
そうだよな。
別人な訳じゃないんだし。
「また、何考えてんの~?」
「…あんたには教えないよ。」
「あんたとか言わないのっ。葉月だよ、はづきっ。」
ちょっと、ムッとしてる。未夢さんも、「あんた」とか「おまえ」とか言われるの、嫌ってたもんな。
やっぱ同じなんだ。
「知ってるよ。」
「じゃあ、ちゃんと名前で呼んでよね、瀬菜。」
いきなり呼び捨てですか。
「友達」=名前で呼ぶ。
っていう女子の中では割とお決まりな定義。
ってぃうか、何で、俺の名前知ってんの?
「名前、教えた覚えないんだけど。」
「え~、それくらいちゃんと知ってるよ。ってか、瀬菜は美人だから、結構、有名になってるのに、知らなかった?」
…はぃはぃ。
俺がホントに女だったら喜べるんだろうけどね。
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