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「はーあ、なんでろくでもない男ばっか好きになっちゃうんだろうな」
「なんだ、またそういう男と寝たのか?」
「寝てはいないけどさ」
「お前のセンサーがそういう男だけに働くんだから諦めろ。そう言えば聞いたか? お前が高校のとき好きだった牧セン、生徒に淫行でクビだってよ」
「うっそまじで……聞きたくなかったその話……」
「奥さんと子供いるのになあ。じゃあごゆっくり」
憐れみのこもった声でそう言って、道生はまた奥に引っ込んだ。
道生が「牧セン」と言ったのは、高校の頃にひそかに悠が片思いをしていた美術教師の名前だ。
もちろん気持ちを告げることなどなく、卒業式を最後に一度も会っていない。
告げることもできずに終わった恋をどうにかしたくて、その後適当に付き合い始めた男がまたどうしようもなかったんだよな。
芋づる式にずるずると引き出されてくる過去に自分でげんなりして眉間に皺が寄る。
とことん男の趣味が悪いのだと自分でも思う。春嵩にだって深入りしないほうがいいに決まっているのだ。
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