夜明けのブルーにさよなら

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 悠がいなくちゃ、と言わんばかりによりかかってくるくせに、悠のことなんてちっとも大事にしない。  だが結局、そんなふうに「必要とされている」と勘違いしてしまう自分がいけないのだ。好きになっているつもりなのに、ただ「必要とされている」と思いたいだけなのかもしれない。  道生の言葉は的を射ている。悠だってそんな恋愛など二度としたくないと思っているからこそ、春嵩にこれ以上踏み込んでしまうのが怖い。 (……なんであんな顔するんだろうな)  常連客と仲が良さそうに話し、「悠さん」と笑顔を向けてくる春嵩は、冷えた声で恋人に別れを告げ、そして店で朝を迎えたときだけ空虚な顔を見せる。  どれが本当の彼なのか分からない。知りたいと思ってしまったら負けだ。恋愛よりも仕事に対するウェイトが増え、代わり映えのしない毎日の穏やかさも覚えた。  そこにプラスされる刺激なんて、休みの日にベッドでゆっくり抱き合うくらいでいい。  多くを望んでいるわけじゃないんだけどなあ。そんなふうにぽつりとこぼした瞬間、後ろで「いらっしゃいませ」という声とともに客が入ってくる音がした。 「あれ? 悠さん?」  聞き慣れた声に呼ばれてはっとする。弾かれたピンボールの玉みたいに後ろを振り返ると、そこに立っていたのは春嵩だった。 「……春嵩くん」     
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