夜明けのブルーにさよなら

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 溜息をつくかわりにジンジャーエールを喉に流し込んだ。ぴりぴりと喉を刺激する辛さが心地よい。恋愛のスパイスなんてこの程度でちょうど良いのに、悠が選んでしまう相手はいつだって唐辛子をそのまま頬張るかのようなハードさを与えてくる。 「昨日、これ助かりました。ありがとう」  春嵩はそう言ってセレクトショップの紙袋を差し出してきた。中を見てみると、丁寧に折りたたまれた悠の服が入っている。柔軟剤のせいだろうか、春嵩と同じ香りがふんわりと漂った。 「そのままで良かったのに」 「いや、そういうわけにもいかないでしょ。昨日はほんと迷惑かけてごめん」  春嵩はそう言って頭を深々と下げた。自分の非を潔く認める素直さを持っている。だからこそ、あんなふうに気持ちの終わった相手に冷たく別れを告げることができるのだろうか。 「お、なんかあったの」  悠が食べたものと同じ木のボウルを春嵩に差し出しながら道生が尋ねてきた。「たいしたことじゃないよ」と悠が答えると、春嵩は気まずそうに笑った。 「なんだよ二人して。俺とお前の仲じゃねえか、悠」  にやりと笑いながら道生が言う。春嵩はロコモコを食べようとした手を止め、「あの」と遠慮気味に口を開いた。 「ん? どうかしたか、春嵩くん」  「いや、悠さんとオーナーってそういう仲なのかなと思って」  春嵩の言葉に二人で顔を見合わせてきょとんとする。そういう仲って、つまりそういうことだよな、と目線で会話した。     
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