小説編

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小説編

■こっちみて  授業中、誤って消しゴムを落とした。そんなに遠くないところに落ちたので、素早く手を伸ばして拾い上げた。  何となく違和感がある。手に持ったままよく見てみると、紙のスリーブで隠れているところから何かはみ出ていた。  スリーブを取ってみると、今まで気づかなかったが消しゴム本体に文字が書いてある。  こっちみて  思わずこっそり周りを見渡すが、授業中なので誰とも目が合わない。  気持ち悪いので、消しゴムの文字は削り落とした。 ■パリの刃物男  Eさんの話である。  先日、朝のニュースがフランスの事件を短く伝えた。パリのエッフェル塔周辺で、一人の男が刃物を振り回した。男はすぐに身柄を拘束されたが、テロの可能性もあるとして、現地では慎重に捜査が進められているという。  ニュースを見ながらトーストを食べた後、Eさんは着替えるために寝室に向かった。  ドアを開けると、目の前にパリの刃物男が立っていた。  Eさんはすぐにドアを閉め、先に洗面台で顔を洗うことにした。それから再び寝室に戻ると、さっきの男の姿はもうなかったので、クローゼットから出勤着を出して着替えた。  Eさんは、うちの寝室にいてもパリの刃物男なんだな、と思ったそうだ。 ■曲がりにくい角  Aさんが中学生のときである。  同じ学校に通う生徒の一人が、自転車で帰る途中に…………  (小説編の続きは文学フリマ会場のブースまたは見本誌コーナーでご覧ください)
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