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人類。
ヒト科。
ホモサピエンス。
これに属するものならば、多かれ少なかれコンプレックスというものを持っている筈だ。
そういう訳で、俺……春日紅介(かすがこうすけ)は、この妙な名前にコンプレックスを持っていた。
どうも親が、小洒落た名前を付けたかったらしい。
しかも色に拘ったみたいで、当然、俺よりも先に生まれた第一の被害者・春日家の長女である姉は「白綾(しあや)」という、これまた変てこな名前を付けられた。
姉と弟、揃ってめでたく「紅白」にしたかったらしいんだが、めでたいどころか四つ年上の姉とは仲が悪い。運動会よろしく白と赤で、小さな頃から毎日のように小競り合いが絶えない。
小学生の時には、この名前の所為でよくからかわれたもんだ。
「男のくせに『紅』だって。お前は紅白歌合戦で、赤組か? もしかして『おねえ』って奴?」
って感じで。
もちろん、そういう輩にはこの俺が、正義の鉄拳で制裁してやった。
俺は、四才も年上の姉とも対等に張り合うような、なかなか気性激しいやんちゃくれた性格だった。
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