3 中年

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「そういえばこの前、衝撃の本を読んだのだけど」 「何?」 「関西人の話し方と言う本よ」 「また、アクの強そうな本読んでいるね」 「話し方にはメリハリが必要と書かれていたわ。ここで話が終わったと言う所謂話しのオチをつけるべきだと書かれていたわ」 「まぁ。盛り上がりもオチもない話を延々とする人っているからね。それはそれで悪くはないとは思うけど」 「確かに、結局何が言いたいのか分からない話をする人は多いし、それを聞いているほうは苦痛でしかないわ」 「やっぱり身もふたもないね。それは話を聞いてほしいだけ何だから聞いてあげようよ」 「聞いてほしいなら話すほうも聞き手側の気持ちも考えるべきだとその本には書かれていたわ」 「んー。分かるけどね」 「話を面白くする例文として、同級生にラブレターをもらったと思ったら実は兄宛てでしたって例文があったのだけど」 「うん」 「これを面白い話し方にした答えも書いてあったの。自分がその同級生に好意を持っている事を前振りにしてラブレターをもらった時にどれだけ自分が嬉しかったかを語り、兄宛てだと知った時の衝撃とショックと突っ込みをいれるという文だったの」 「あー。なんか分かる」 「たった一行で終わる話を八行以上使って話すって衝撃じゃない?」 「あはは。そうだねー。でも、その傾向は菜緒ちゃんにもあるでしょ」 「……そうなのよ。言われるまでもなく自分が実行していることに衝撃を受けたの。そしてその話し方が面白いかと言われれば人によるとしか言えないところが悲劇よね」 「関西の人ってお笑いを意識してる人多いよね」 「育ってきた環境のせいね」 「中途半端な関西弁も嫌う傾向があるよね」 「こんなん関西弁ちゃうっちゅーねん。みたいな」 「あはは。それそれ」 「中年だけにね」 「……菜緒ちゃんはもうおじさんで良いと思う。思考が」
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