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早朝
「ヒィヒィ!はぁー夢か…」
悪夢から目を覚ました私は、部屋の中が霞がかっている事に気づく。
割れている?
窓ガラスが…
私は、そっと割れた窓ガラスから外を覗いて見る。
いつもと変わらぬ風景だが、何かが違った。
そう、静かすぎるのだ。
「お母さん。
お父さん?」
下の階へ呼んでみても返事がない。
「お…かあ…さん?
おと…うさん?」
私は、恐る恐る自分の部屋から出て、一階へ降り、台所を覗く。
コトコトとシチューの煮える音が聞こえ、盛り付け途中のサラダの皿が綺麗に並んでいる。
不自然な所は、お母さんがいない所。
この時間は必ず朝食を作るためにここを離れない。
「お…お母さん?」
コンロの火を消し、次に食卓のあるリビングへと向かう。
きっと、お父さんが新聞を読みながら朝食を待っていると期待したい。
だが、嫌な予感が募って仕方ない。
リビングには、白黒のテレビがついたままで、やはりお父さんの姿はなかった。
「……。お父さん。」
私以外誰もいない。
こんな状態でどこへ行ってしまったのだろうか?
私は、玄関からそっと外の様子をうかがってみる。
静まり返っており、誰もいないようだ。
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