早朝

1/17
前へ
/29ページ
次へ

早朝

「ヒィヒィ!はぁー夢か…」 悪夢から目を覚ました私は、部屋の中が霞がかっている事に気づく。 割れている? 窓ガラスが… 私は、そっと割れた窓ガラスから外を覗いて見る。 いつもと変わらぬ風景だが、何かが違った。 そう、静かすぎるのだ。 「お母さん。 お父さん?」 下の階へ呼んでみても返事がない。 「お…かあ…さん? おと…うさん?」 私は、恐る恐る自分の部屋から出て、一階へ降り、台所を覗く。 コトコトとシチューの煮える音が聞こえ、盛り付け途中のサラダの皿が綺麗に並んでいる。 不自然な所は、お母さんがいない所。 この時間は必ず朝食を作るためにここを離れない。 「お…お母さん?」 コンロの火を消し、次に食卓のあるリビングへと向かう。 きっと、お父さんが新聞を読みながら朝食を待っていると期待したい。 だが、嫌な予感が募って仕方ない。 リビングには、白黒のテレビがついたままで、やはりお父さんの姿はなかった。 「……。お父さん。」 私以外誰もいない。 こんな状態でどこへ行ってしまったのだろうか? 私は、玄関からそっと外の様子をうかがってみる。 静まり返っており、誰もいないようだ。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加